私たちは、たまに出逢ってしまう。
「この漫画と同じ時を生きることが出来て良かった」
「この漫画を読めて幸せだ」
毎週の幸福「亜獣譚」。
最初の見開きは、某有名青年漫画のオマージュのようにも感じられる。※
(※オマージュに感じられたことは個人の感想です。ご本人が教えて下さいました!記事下に追記あり)

「亜獣譚」本編も、その某青年漫画のオマージュなのだろう、漫画史に巨大な足跡を残したそれを越せる訳はないのに、無謀なことをする、折角良い画力なのに…というのが序章を読んだ所感だ
「害獣」の設定についても良く解らない。
ただ、ヒロインの言動に惹かれて読み進めてしまう。
王道の青年ファンタジー画風でありながら、残酷と翻身の同居が現代を感じさせる。
やがて「亜獣譚」は、最初はとっつきにくいと思った独自の世界設定も巻き込み、いくつもの倫理と命題の境界を血で描いて行く。
人が生きてゆく中でぶつかる倫理の命題を、荒々しい描写で消すことなく丁寧に一つ一つ拾ってゆく。
その作風は、確かに冒頭でオマージュされた某青年漫画の影響も感じさせるが、漫画家江野スミ氏なりの「答えの出し方」は、前時代の靄をもっと取り払い、現代を生きる者達がもっと必要とするものを描いたと断言させる漫画だ。
その全てが詰まっている
善か悪か性か愛か罪か生か。
そして、人類の命題であるそれらの問いを、問いだけで終わらせないのがこの漫画だ。
それらの「答え」は、いつもの少年漫画のように、ピュアな主人公がポケットから取り出すようにポンと提示するのではない。
初出にて原始の方法で、それらの答えが埋められて行く。
「答え」とは、その解が心に結晶するのではなく、答えを導いた方法こそが宝床となる。
そのことを、明確に感じさせてくれる漫画である。
マンガワンは絶対チェックだ
掲載の「マンガワン」は、サイト「裏サンデー」としても運営している、「サンデー」の系譜だ。
早くから無料読みのサイトを運営し、「世界鬼」、「ゼクレアトル」等をメジャーに送り出した。
今も、マンガワンでしか読めない秀逸な作品を並べている。
今後も紹介してゆきたい。
終わるのが嫌で最終話が読めないマンガ
「亜獣譚」については正直なところ、管理人は現時点で最終話を読んでいない。「終わるのが嫌で最終話を読めない漫画」の一つになってしまったのだ。
しかし亜獣譚は、4/17の最終巻発売に合わせ、マンガワンでの公開を4/30に終了する。
覚悟を決めて最終巻を買うしかないと思っている。
解は一つであっても、解き方の数だけ素晴らしい作品が産まれる。
それは人生においても言えることなのではないか。